症例レポート
THE CHIROPRACTIC CASE REPORT
症状
10代から肩こりがきつく、現在の大学での授業中や自宅での学習中に特にきつくなる。
それ以外でも慢性的に首筋から肩周囲に重さを感じている。頭痛などの随伴症状はなし。
所見
- 左右背部の筋力低下があり、頭部が前方に突出するクレーンネックがみられる。
- 腰椎前弯の減少。
経過
初回
腰部・背部・頚部の矯正により、背部筋機能の向上と姿勢の改善が見られた。
こり感に関しては若干の改善。
2回目(7日後)
肩こりは3日ほど楽だったが、今は以前と同じ状態。前回同様の施術を行い、姿勢改
善の為のエクササイズを指導。
6回目(2か月後)
施術間隔は2~3週間になったが、ひどい肩こりはほとんど出なくなった。時々肩こり
が気になるが、ストレッチを入念に行うと改善する。
コメント
若い方だったが、運動不足の傾向があり体が硬く、やせ形であった。それが不良姿勢をつくり、クセ付ける原因となっていたため施術以上にエクササイズへの取り組みが重要なケースだった。幸いエクササイズに熱心に取り組んでもらえた結果、症状をご自身でコントロールできるようになってきた。しかし、さらなる改善と予防のためにエクササイズの継続と運動へ取り組みが必要となる
症状
1ヵ月前にテニスをした後から軽い腰痛があった。今朝起床時に強い腰痛があり、特に中腰がつらい。昨夜は飲み会があり、狭いところであぐらをかいていた。
所見
- 腰痛前弯が減少しており、椎間板にストレス反応
- 左腰部、左ハムストリングの過緊張
- 右臀部筋の過緊張
- 右仙腸関節の開きがみられる
経過
初回
腰椎の捻じれを修正して椎間板へのストレスを減少させ、右仙腸関節の開きを抑える操作を行ったところ、中腰の痛みが減少。
2回目(翌日)
初回よりだいぶ楽になったが、少し痛みが残る
3回目(7日後)
腰痛はなく良好
コメント
テニス後の痛みを長く引きずり、過緊張した腰に長時間のあぐらによって炎症が生じた様子。起床時には炎症が悪化し、強い痛みになったと考えられる。もともと椎間板に弱さを持っていた可能性もあり、構造的弱さを修正する操作で早い段階で痛みを抑えることができた。症状
1ヵ月前に運転席から後部座席の荷物を取ろうと手を伸ばした時から左肩に痛み。現在は強い痛みは消えたが、肩を水平まで上げると重い痛みがある。
所見
- 肩関節を水平まで上げると痛み(自動・他動運動ともに)痛みはあるが、肩は真上まで挙がる
- 棘下筋に過緊張
- クレーンネック
経過
初回
クレーンネックによる頚部・上背部の過緊張緩和のための操作、肩関節の可動性を向上させるための操作を行った。痛みは若干減少したが、大きな変化は見られず・
2回目(7日後)
前回と大きな変化はない。前回同様の施術に加え肩関節への操作を強化。また、肩関節周囲の筋肉に対する緩和操作を行った。肩の痛みは残るが、動きはスムーズになって
きた。
3~5回目
少しずつ痛みが減少し、5回目の施術時にはほとんど痛みはなくなっていた。
コメント
発症は無理に肩を動かしたことによる外傷であったが、回復の過程で慢性痛になった様子。肩関節周囲の過緊張や関節機能の障害だけでなく、頚部・背部のバランスを改善させたことも、肩の症状緩和の要因になった。症状緩和は緩やかであったが、その後は
大きな問題はなく過ごせている。症状
2年前から歩行時に左股関節に痛みがあり、いまは階段の上りが困難。夜も痛みが強く、よく眠れない。今までは整形外科・整体に通っていたが、あまり改善は見られなかった。
腰椎すべり症の既往歴がある。
症状
- 左の仙腸関節に圧痛
- 左臀筋の過緊張
- 右膝関節にこわばり
経過
初回
腰部・骨盤のゆがみの改善、左股関節のこわばり・臀筋の緩和操作を中心に施術。痛みは少し改善した程度だが、体全体は軽くなった。
3回目
股関節の痛みは少なくなり、よく寝られるようになった。継続した施術に加え、家庭での股関節の体操を指導。
5回目
歩行時の痛みもなく、スイスイ歩けるようになった。
コメント
加齢性の関節変形が無かったことが幸いだったが、患者さん自身が非常に治療に熱心で、運動も積極的に行っていたため、改善が早かった。しかし、靭帯が弱い体質があり、忙しさや無理な動作をすると以前ほどではないが痛みがでることがある。メンテナンスが重要なケース。
症状
一昨日の起床時から強い首の痛み。全方向で痛みがあり、首が回せない。今日、整骨院でマッサージを受けたが変化なし。3週間前、右足に帯状疱疹ができた。
所見
- 首は痛みによりほとんど動かせない。
- 肩甲骨周りの筋肉、肋骨付近の筋肉に強い緊張
- 副交感神経パターンに機能低下の反応
経過
初回
肩甲骨・肋骨付近の筋緊張の緩和、矯正による肋骨・胸椎の可動制限の解除。自律神経機能の改善を図る操作を行い、若干痛みが改善するものの、首の動きは制限されたまま。
2回目(翌日)
首は少し動かせるようになったがまだ痛みは強い。
先日の施術と同様だが、自律神経機能への操作を重点に行う。
3回目(3日後)
首の痛みはなく、重さが残るくらいに改善
コメント
寝違え前に帯状疱疹がでるなど、もともと疲労があり首の痛みが発生した様子。年齢的なものか、自律神経機能の回復に時間がかかったが、筋骨格系へのアプローチだけではもう少し痛みの改善に時間がかかったと思われる。単純な身体の緊張だけでなく、神経緊張を伴う急性痛のパターンだった。
症状
介護職で力仕事なども多く、仕事中に手首を反らすと手首に痛みがあり、指先にしびれが走る。痛みは2週間ほど続いており、手首を強く反らさなければ平気なため、日常生活には支障がない。
所見
- 手首を強く反らせると、手首の痛みと人差し指・中指のしびれが誘発。
- 腰部・背部・首周りの筋緊張が強い。副訴に肩こり・腰痛
経過
初回
頚部から手に伸びる神経が、頚部と手首の部分で圧迫されている可能性があり、神経の通りをよくする方向性の施術を行う。手首のいたみ、指のしびれは半減した。肩・腰部の緊張のかなり強く、全身のバランス改善の施術。
2回目(7日後)
手首・指の症状はほとんど気にならない。しかし、肩こり・腰痛が気になりだしてきた。手首の客観的な異常は解消されていた。頚部・腰部を中心に全身的ケアを行う。
3~6回目
継続的なケアに加え、エクササイズへの取り組み強化で、肩こり・腰痛が徐々に改善していった。職業的な肉体疲労は大きく、メンテナンス継続中。
コメント
手首の症状は軽度で、マニュアル的な施術で改善した。しかし、慢性的な肉体疲労か ら、肩こり・腰痛も含めて今後も広い部分に症状を出すことも考えられ、エクササイズとメンテナンスでの施術が重要ですが、仕事を続けていくにあたり、患者さん自身の健康管理への意識向上が大変重要なケースでした。
症状
専業主婦で家事と子育てに励んでいる。 第3子出産後から、あぐらの姿勢で股関節付近に痛みがでる。子供があぐらをかいた足に好んで座るため、中々痛みが治まらない。それ以外に子育ての疲労からくる肩こり、腰痛が気になる。
所見
- 股関節を開く姿勢で痛みがある。術者がゆっくり動かせば痛みはない。
- 骨盤部の関節(仙腸関節)と股関節に歪みがみられる。
- 背骨と肋骨を結ぶ関節に強いこわばりおよび、周囲筋肉に緊張がみられる。
経過
初回
骨盤・股関節の歪みをとり、背中の緊張を取る施術、股関節付近の筋肉に対する緊張緩和の操作を行う。痛みは半減し、肩こり・腰痛も楽になった。痛みが出る姿勢を極力とらないように指導。
2回目(5日後)
前回後、2日目くらいから股関節の痛みがまたきつくなってきた。肩こり・腰痛も少し戻っている。前回と同様の施術に加え、股関節と背中のエクササイズ指導。
3~4回目(3週間後)
股関節はだいぶ楽になった。肩こり・腰痛は以前より良いが、まだきつい日も多い。
コメント
妊娠・出産はお母さんの体に強い負荷をかけるが、特に骨盤付近はそれが顕著にみられる。今回も骨盤と股関節の歪みからくる筋肉の緊張があり、早い動きや股関節を開いた状態での負荷で鼡径部の筋肉が反射的に収縮して痛みが出ていたようである。歪みを正し、鼡径部の筋肉をリラックスさせる方法で症状は改善した。
子育て中のお母さんは時間の融通が難しく、今回の方も予約の変更が何度かあり、適切な施術間隔が取れなかった。また、育児からくる体への負担は大きく、肩こり・腰痛といった慢性症状に対するケアも再考すべき点があった。施術期間が開いてしまう場合は、特にエクササイズへの取り組みが重要で、忙しい中でもエクササイズの時間を取る工夫(時間帯や一日の中で小分けにして行うなど)を適切に伝える必要がある。
症状
40代の専業主婦。いつもは至って健康だが、2日前の起床時から右肩に痛みがある。
特に外傷の記憶はないが、右肩を下にして寝ることが多い。
所見
- 肩関節の運動時に痛み。特に外転時に痛みがある(角度40度以上から)。
- 力を抜いて、術者が動かせば可動域は正常。
- 三角筋に強いこわばりがみられる。
経過
初回
上背部の矯正、肩関節の歪みの修正を行い、背中と肩周りの協調性を改善させる施術を行った。痛みは少し減った状態。肩関節の自動運動での可動域も水平近くまで改善した。自宅でのアイシングを指導。
2回目(3日後)
前回翌日には肩は普通に動くようになったが、痛みは少し残る。
前回同様の施術を行い、肩周囲のストレッチ、背中へのストレッチを指導。
コメント
3回目の若干の痛みがあったが、症状はほぼ治まっていた。
肩周囲にある三角筋の炎症が痛みを起こしていたと考えられるが、肩関節と背中のバランス崩していたことで、就寝時に三角筋に負荷をかけてしまった可能性がある。再発防止のため、エクササイズが重要です。
症状
歯科助手の女性。右頚部から右肩付近に強い痛み。仕事中、下を向いての作業中にきつくなり、夕方にピーク。朝起きるといくらか楽になっているが、忙しい時期は常に痛みが続く。
所見
- 右頚部から肩甲骨にかけて、強い筋緊張がみられる。
- 右の第2・3肋骨と背骨の関節にこわばり。
経過
初回
体全体のバランスを整え、肋骨のこわばりを矯正にて改善。残る筋緊張に緩和操作を行 った。痛みはほとんどなく感じなくなり、体が軽くなった。
2回目(3日後)
痛みは少し戻るが、だいぶ楽な状態が続く。
コメント
歯科助手の仕事で、長時間うつむいての作業から頚部の緊張。また、手を使う仕事で肩 周りの筋肉にも強い緊張を起こしていた。慢性化した緊張が肋骨付近の関節をこわばら せる結果になり、筋緊張に拍車をかけていたと考えられる。関節のこわばりがでると筋 肉のストレッチだけでは改善が難しくなるので、仕事が忙しい時期は早めのメンテナンスが必要です。
症状
一年前に突然首に痛みが発生し、その後右腕にしびれが出始めた。整形外科で2週間牽引を行い、その時は改善した。しかし、2か月前に再発して、ずっと右腕のしびれが強く続いている。
所見
- 神経学検査では腕の神経に異常は見られない。首を反らすと腕の痛みが強くなる。
- 右肩、右胸の筋肉に緊張、頭部が前方に出るクレーンネックがみられる。
経過
上背部、頚部の歪み、こわばりを矯正によって解除。胸部の筋緊張へ緩和操作。首と背 中の境目に対する牽引操作を行った結果、施術後は腕のしびれが半減した。首~肩と胸 の筋肉へのストレッチを指導。 一週間後に再び施術、腕のしびれがまたきつくなってきた。前回同様の施術を行う。 3回目にはしびれはなくなり、指先が若干しびれる程度。
コメント
首の関節がこわばり、そこに運動負荷や疲労がたまると腕にしびれを誘発する状態でし た。カイロプラクティックの矯正や牽引操作が大変有効なケースです。一年前に発症し て今回再発したことは、改善後のエクササイズが不十分だったからだと考えられます。弱点を補うためのエクササイズ指導は施術同様に重要な要素です。
症状
20代主婦、2児の母。第2子妊娠時から腰痛が発生し、出産後もよくならない。 腰全体と左臀部にかけて常に痛みがあるが、寝ているときは比較的楽でいられる。
所見
- 検査中の動きでは強い痛みは出ないが、問診時、座位の持続で痛みが強くなってくる。
- 腰部の筋緊張が強い。
- 左右の仙腸関節(骨盤の関節)に開きがみられる。特に左が強い。
- 体質的に体が柔軟性に富んでいる。
経過
コメント
出産後のお母さんは、妊娠・主産後の体への負荷と子育てでの負荷で症状が長引くケー スが多い。その点では今回はエクササイズへの取り組みも真面目に行っていただいたこ ともあり、比較的早く改善したほうだと思います。 骨盤の開きは妊娠時の患者さんに多くみられ、関節が不安定になりやすく、周囲の靭帯や筋肉に過度の負担をかけやすい。今回のケースの患者さんは体が柔らかい体質であったことも、開きの度合いを強めていたと考えられる。今後も日常生活からの負担で骨盤が開きやすい傾向は続く可能性があるため、継続的なエクササイズが必要です。
症状
高校1年時から肩こりに悩まされ、特に授業中に頚部の前面や肩にかけて強く緊張する。 テスト前も緊張によって症状が悪化し、後頭部の頭痛もたびたび発生。今までは小まめにマッサージに通って凌いでいた。受験を控え部活を引退したため、運動不足も手伝って最近は症状がきつくなってきた。
所見
- 前斜角筋および後頭下筋群の過緊張、クレーンネックがみられる。第1頚椎、第4頚椎の機能障害、上背部肋骨の機能障害がみられる。上肢の神経・循環に問題は見られなかった。
経過
コメント
上背部の緊張が頚部の緊張を増悪・持続させる原因となっていた。頚部のバランス改善に加え、上背部の緊張緩和、骨盤矯正による体全体のバランスを取ることで症状が持続的に緩和されている。患者は1日10時間も机に向かい、テストの緊張感によっても状態が悪化しやすく、継続的なケアとエクササイズへの取り組みが重要。